中小企業経営とリスク

(株)ABCの社長田中さんは、健康グッズX販売で売り上げを伸ばして、少々自身過剰になっていたところ、ある日、同じような商品Yを販売している競争相手の(株)Pから警告書を受け取りました。

警告書の内容は、
(株)ABCの商品Xについて保有する実用新案権登録、意匠権を侵害し、また不正競争防止法上の不正競争に該当するので、直ちに販売を中止すること。10日以内に返事すること。誠実な対応が ない場合には訴訟を起こすというものでした。

(株)ABCの社長田中さんは、最初は強気でしたが、よく考えれば主力商品Xの販売を中止することになれば、大きな痛手となることがわかり、頭を抱えることとなりました。

対策:このような競業会社間での知的財産権が絡んだ争いは、最近増える傾向にあります。勿論、侵害で訴えられることがあっても、必ずしも敗訴するとは限りません。が、もし訴訟に負けると痛手は大きいものです。勿論、訴訟費用も安いものではありません。したがって、経営者は普段からそのような知的財産権の争いに巻き込まれ ないように、また巻き込まれた場合においても、大きな痛手を食わないようにリスク管理をしておく必要があります。

リスク管理の仕方は、様々ですが、一種の保険と考え、売り上げの大きい商品については、その売り上げの何パーセントかを知的財産向けのリスク管理費に充てることです。商品の知的財産権侵害に対するリスク管理は、端的には、意匠登録出願や実用新案出願をしておくことです。

出願費用は一般的に20~30万円程度ですので、その商品による売り上げや利益と比較すれば、リスク管理経費としてそのような知財向けの出費を経費として採用しても良いか否かの判断はつくはずです。