日本の中小製造業は絶滅危惧種か?

近年、日本の製造業の海外進出は、大企業はもとより中小企業に至るまで、盛んに行われています。

大企業の海外進出は、企業のグローバル化の一環として行われており、
商品の販売等、事業のグローバル化による優位性を背景に、成功しているといえるでしょう。

これに対して中小製造業はどうでしょう?

中小製造業の海外進出には2つのタイプがあるようです。

Aタイプは大企業の海外進出に伴って、その関連企業が一緒に進出するタイプです。

Bタイプは中小製造業自らが安い製造コストを求めて、アジア等に進出するタイプです。

Aタイプの中小企業は仕方なしという感もします。が、Bタイプの中小製造業はどうでしょう。

Bタイプの中小製造業のメリットは、端的には生産コストの低減でしょう。
しかし、安い製造コストを求めてアジア等に一旦生産拠点を移すと、
その後、自らの国内生産の縮小、廃止という道をたどり、
やがては海外から安い商品を輸入販売する輸入販売業者となってゆくのではないでしょうか。
その方が手っ取り早く儲かるからです。

低価格商品の輸入販売業者が増えると、それがさらに国内在住の中小製造業者を淘汰することになり、今、正に中小製造業消滅の負のスパイラルが進行しているのではないでしょうか。

即ち、残念ながら、我が国の中小製造業の多くは、業者の高齢化に伴う廃業も加わって、今後10年のうちに半減乃至消滅する絶滅危惧種状態となっているのではないでしょうか。

中小企業群の消滅は、その我が国における生産連携の破たんを意味し、
その頂点に立つ大企業にもいずれ及んでくると思われます。

最近は中小企業の海外進出を援助する公共団体も多いようですが、
安易な中小製造業の海外進出は、やがて我が国自らの首を絞め、
特に我が国の中小製造業の衰退、生産連携の破たん招くリスクをはらんでいると小生は懸念します。